2011年 08月 25日
東京バンドワゴン |
小路幸也(しょうじゆきや)著
集英社文庫
2008年4月25日(単行本2006年4月)
定価:本体552円+税
東京のどこか、下町の風情と人情がいまも残る町の一角に、〈東京バンドワゴン〉という変わった名前の古本屋があります。店の3代目の主である堀田勘一を頭に、4世代がにぎやかに同居する大家族物語。読めば心の肩こりが解けること請け合い。
勘一の亡くなった妻サチが、見えない姿になったいまもまだみんなといっしょに家にいて、物語の語り手となっています。小説は誰の視点で書くかが最初の大問題ですが、これは実に上手いやり方だと読んでいて思いました。神の視点、作者の視点でもなく、かといって登場人物のだれかの視点でもない(自由にどの場面にでも居られるわけですから)。ですます調で違和感がなく、ほっこり柔らかい空気が行間から漂います。
いまは少なくなった大家族。いまでは難しくなった金勘定とは別次元のやりもらい。ゆっくりした時間の流れ。そしてなによりも魅力的な登場人物たち。小学生の花陽や研人まで、だれもが類型的に描かれているわけですが、それは安心して読めるホームドラマに仕上げるための作者の確信犯的サービスです。
みんなそれぞれに弱さや傷もあるけれど、家族のなかではそれが少しも弱さや傷になりません。I'm OK, You are OK.の世界。だから途絶えることなく客人も訪れます。家族はこうありたいものです。
ふと、自分のキャラは登場人物の誰に近いか考えてみました。どちらかというと消去法によってですが、紺(勘一の孫で34歳のフリーライター)ですね。ホントは勘一や我南人になりたい私ですけど、なれません。でもI'm OKです。読んでない人にはわからないでしょうけど。
ちなみに、4つの短編(中編ですか?)から成っています。
春 百科事典はなぜ消える
夏 お嫁さんはなぜ泣くの
秋 犬とネズミとブローチと
冬 愛こそすべて
どれも、ほんのちょっと謎ときの楽しみが味わえます。シリーズ化されているので、しばらく楽しめそうです。
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集英社文庫
2008年4月25日(単行本2006年4月)
定価:本体552円+税
東京のどこか、下町の風情と人情がいまも残る町の一角に、〈東京バンドワゴン〉という変わった名前の古本屋があります。店の3代目の主である堀田勘一を頭に、4世代がにぎやかに同居する大家族物語。読めば心の肩こりが解けること請け合い。
勘一の亡くなった妻サチが、見えない姿になったいまもまだみんなといっしょに家にいて、物語の語り手となっています。小説は誰の視点で書くかが最初の大問題ですが、これは実に上手いやり方だと読んでいて思いました。神の視点、作者の視点でもなく、かといって登場人物のだれかの視点でもない(自由にどの場面にでも居られるわけですから)。ですます調で違和感がなく、ほっこり柔らかい空気が行間から漂います。
いまは少なくなった大家族。いまでは難しくなった金勘定とは別次元のやりもらい。ゆっくりした時間の流れ。そしてなによりも魅力的な登場人物たち。小学生の花陽や研人まで、だれもが類型的に描かれているわけですが、それは安心して読めるホームドラマに仕上げるための作者の確信犯的サービスです。
みんなそれぞれに弱さや傷もあるけれど、家族のなかではそれが少しも弱さや傷になりません。I'm OK, You are OK.の世界。だから途絶えることなく客人も訪れます。家族はこうありたいものです。
ふと、自分のキャラは登場人物の誰に近いか考えてみました。どちらかというと消去法によってですが、紺(勘一の孫で34歳のフリーライター)ですね。ホントは勘一や我南人になりたい私ですけど、なれません。でもI'm OKです。読んでない人にはわからないでしょうけど。
ちなみに、4つの短編(中編ですか?)から成っています。
春 百科事典はなぜ消える
夏 お嫁さんはなぜ泣くの
秋 犬とネズミとブローチと
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by booktrain
| 2011-08-25 23:58
| ●小説・物語