2011年 04月 17日
東京大学で世界文学を学ぶ……わたしにはちょっと難しかったです |
東京大学で世界文学を学ぶ
辻原登著
集英社刊
2010年11月10日
定価:本体1600円+税
前回の投稿では和田誠の似顔絵本を紹介しましたが、これは和田誠装丁の本です。なので、すごく取っ付きやすそうな外見をしています。ドストエフスキーもトルストイもセルバンテスも読んだことがなく、世界文学とは無縁の私ですが、多少ともお近づきになれればという期待を込めて、この本を手に取りました。
残念ながら、あまりお近づきになれなかったみたいです(苦笑)。日本語だから何が書かれているかはわかるのですが、「なるほど」と膝を打つ理解の快感は得られませんでした。『ドン・キホーテ』は、比喩的に言うと聖書批判に通じる、神話・宗教・歴史という批判を許さない大きな物語を批判した点で近代小説の嚆矢である、と言われても、そうなんですか、という感じです。本が悪いと言っているのではありません。私の準備状況とのマッチングの問題なので、くれぐれも誤解しないでください。私に必要なのは、『四郷中学で世界文学を学ぶ』だったと悟りました。私の出身中学です。
そんななかで、「【第八講義】物騒なフィクション」で紹介されている話が印象的でした。本筋からは離れるエピソードかもしれませんが、メモっておきます。
コーランをからかったとされるサルマン・ラシュディの『悪魔の詩』。これを訳した筑波大学助教授の五十嵐一さんは、1991年に研究室の階段で暗殺されました。犯人未逮捕です。世界中では、この本の出版に関わった40人以上が殺されているそうです。ホメイニに死刑宣告されたラシュディ自身はまだ殺されておらず、英国政府の厳重な保護下にあります。すごい話です。
五十嵐さんの奥さんは、夫が殺された時は家庭の主婦で、2児の母でしたが、ショックで1年くらいは何も考えられなかったそうです。当然ですね。これではいけないと思い、東京大学の大学院に入り直して医療関係の勉強をしたそうです。で、群馬県のある町に、看護短期大学をつくりました。身障者と向き合う看護を学ぶ学校なのだそうです。町長や市長といっしょに資金集めに奔走し、いまはその学校の副学長です。これもすごい話です。
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辻原登著
集英社刊
2010年11月10日
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前回の投稿では和田誠の似顔絵本を紹介しましたが、これは和田誠装丁の本です。なので、すごく取っ付きやすそうな外見をしています。ドストエフスキーもトルストイもセルバンテスも読んだことがなく、世界文学とは無縁の私ですが、多少ともお近づきになれればという期待を込めて、この本を手に取りました。
残念ながら、あまりお近づきになれなかったみたいです(苦笑)。日本語だから何が書かれているかはわかるのですが、「なるほど」と膝を打つ理解の快感は得られませんでした。『ドン・キホーテ』は、比喩的に言うと聖書批判に通じる、神話・宗教・歴史という批判を許さない大きな物語を批判した点で近代小説の嚆矢である、と言われても、そうなんですか、という感じです。本が悪いと言っているのではありません。私の準備状況とのマッチングの問題なので、くれぐれも誤解しないでください。私に必要なのは、『四郷中学で世界文学を学ぶ』だったと悟りました。私の出身中学です。
そんななかで、「【第八講義】物騒なフィクション」で紹介されている話が印象的でした。本筋からは離れるエピソードかもしれませんが、メモっておきます。
コーランをからかったとされるサルマン・ラシュディの『悪魔の詩』。これを訳した筑波大学助教授の五十嵐一さんは、1991年に研究室の階段で暗殺されました。犯人未逮捕です。世界中では、この本の出版に関わった40人以上が殺されているそうです。ホメイニに死刑宣告されたラシュディ自身はまだ殺されておらず、英国政府の厳重な保護下にあります。すごい話です。
五十嵐さんの奥さんは、夫が殺された時は家庭の主婦で、2児の母でしたが、ショックで1年くらいは何も考えられなかったそうです。当然ですね。これではいけないと思い、東京大学の大学院に入り直して医療関係の勉強をしたそうです。で、群馬県のある町に、看護短期大学をつくりました。身障者と向き合う看護を学ぶ学校なのだそうです。町長や市長といっしょに資金集めに奔走し、いまはその学校の副学長です。これもすごい話です。
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by booktrain
| 2011-04-17 09:09
| ●歴史・文化