2011年 03月 28日
落語DE枝雀 |
落語DE枝雀
桂枝雀著
ちくま文庫
1993年10月21日
親本はPHP研究所より1982年6月3日刊
定価:本体640円+税
枝雀が新作落語作家の小佐田定雄氏とおしゃべりをしながら、独自の「笑いの理論」を開陳している楽しい対談本。対談部分と落語の速記部分がサンドイッチ構造になっていて、以下がその目次です。
「鷺とり」
まずは緊張の緩和から
「宿替え」
サゲにもいろいろありまして
「八五郎坊主」
情は情でも落語の情は
「寝床」
新作落語はいかがです?
「雨乞い源兵衛」
しゃべり残したことなどを
付録:サゲの四分類
枝雀によると、人間が何をおもしろいと感じるかというと、知的には「変」、情的には「他人のちょっとした困り」、生理的には「緊張の緩和」、社会的とか道徳的には「他人の忌み嫌うこと」ないし「エロがかったこと」の4つ。で、突き詰めて考えていくと、「生理的なもんがいちばんの根本やという結論に達したんですわ」(p.48-49)。
これが枝雀の有名な「落語は緊張の緩和」ですね。つぎに枝雀は、緊張の緩和のパターンについて考察し、「サゲの四分類」を発見(?)します。
(1)ドンデン
(2)謎解き
(3)へん
(4)合わせ
一般的にサゲの分類としては、地口落ち、ぶっつけ落ち、仕込み落ち、シグサ落ち……などがあるが、枝雀に言わせれば、それらは「あっちこっちから視点を定めんと言うだけでは統一性がおまへんがナ」(p.93)。
視点はお客さんです。お客さんが何をどういう形で受けとめてくれはって快感を得てくれはるか。逆の立場で言うと、演者なり作者なりが、どの趣向でお客さんに快感を与えるかというきき手対演者という関係で判断する。これが大前提です。(p.93-94)
四分類の図解もあったりして、笑いを考え抜いた枝雀の頭の中を垣間みる楽しみが味わえる本。こんなことを考えてどうするのかというと、
この分類もね、ただただ趣味や道楽で「分類のための分類」をやってるわけやおまへんねんで。再生産のためにやってますねん。(p.124)
枝雀は再生産のためでしょうが、私は何のためにそんなことを読んで面白がっているのでしょうか。ま、こんな本が出版されて、何度も増刷されているぐらいだから、こんなことを読みたがっているのは私だけではないことだけは確かですけど。
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by booktrain
| 2011-03-28 00:25
| ●落語